中日新聞尾張2017年5月16日「教えて!ドクターQ&A」コーナーで、当院の齊藤院長が回答しました。ぜひご覧ください。
Q.24歳女性です。小学校低学年まで喘息もちでしたが、現在は治っていて病院には通っていません。犬を飼いたいのですが、喘息の人はペットを飼わない方がいいと言われたこともあります。いかがなものでしょうか。
A.小児喘息の方の約70%は15歳位までに、アウトグローと呼ばれる喘息寛解状態になりますが、このアウトグローした方が成人になってから喘息が再発する場合があります。
特に何らかの強力なアレルゲン(抗原)に暴露された時や感染が生じた時に再発しやすいと考えられています。
このアレルゲンとしては、一般的にはハウスダストやダニの死骸など家庭の中の埃に含まれている成分によるものが多いのですが、動物のフケもアレルゲンとしては重要な物質の一つといえます。また、動物のフケは、ダニの餌にもなりうるため特に毛の長い動物を飼うことはダニを増やす原因にもなりえます。
そのため、喘息をもっている方が動物を飼うのは、喘息発作を生じやすい環境を生み出す原因となるため、好ましくないと考えられています。
しかしながら、どうしても飼いたい場合にはまず、その動物、今回は犬ですが、犬に対するアレルギーがあるか血液検査などで検査をすることが、まず必要と思います。
犬に対するアレルギーがあるならば、犬を飼うことはお勧めしません。アレルギーがない場合にも、できるだけ掃除をこまめにして頂き、犬の毛やフケを除去することが重要です。
さらにできうるならば、寝室には犬を入れないようにするなどの工夫も必要となると思います。
一度生き物を飼うと、責任が生じますから、喘息発作が出たからといって飼わなくすることは難しいですし、犬にとっても飼い主にとっても不幸な状況になりえますから、きちんと検査した上で飼う決断をされた方がいいと思います。